会社を経営しているが、思うような収益を上げることができないでいる社長「この状態のままだといつまで会社がもつのだろう・・・。毎日一生懸命に仕事をしているけど、打開策を見い出せない・・・。」
そんな経営者に私が会社破産を決断するまでのことをご報告します。
- 会社破産を決断するまでのこと
- 破産ではなく廃業にしたかったこと
この記事を書いている私は、株式会社の社長を20年ほどやりました。会社はそれなりに儲かった時期もありましたが、あるときから赤字決算をするようになりました。その気になればいつでも黒字に転換できると考えていましたが、会社はとうとう債務超過になってしまいました。自転車操業は想像以上に苦しく、最後は会社破産の決断をすることになってしまいました。
会社の存続か!破産か!できることなら「廃業」したかった理由
赤字決算と黒字決算を繰り返すようになり、来月の支払いが苦しくなったり、お給料の支払いが苦しくなったりして私財を投入する回数が増えてきました。
最初の頃は、自分のお金を会社に入れても、そのお金で支払いが済んだあとに売掛金などの入金があれば、投入したお金を自分に戻すことができました。
債務超過になってしまった
次第に私財を会社に投入しても、それを自分に戻すことができなくなってきました。
その理由は債務超過です。俗に言う「自転車操業」です。
もう絵に描いたような自転車操業。自転車操業の典型的モデルといってもいいでしょう。
自転車操業のキングオブキング
売上金額と支払金額がほぼ同額でした。
入ってきたお金が、そのまま支払いへと消えていきました。仕入れの代金とお給料などの固定費と借入金の返済をしたら残りはゼロ。
いいえ、残りがゼロならまだいいです。
残りがないどころかマイナスです。
とうとう私財も底をつく
とうとう自分のお金が底をつき、会社に貸し付ける現金がなくなりました。
当然会社に貸しているお金も戻ってきません。
なんとかここまで頑張ってやってきましたが、自分のお金もなくなってしまったらどうしようもありません。
- 銀行に融資のお願いをする。
- 銀行に現在借りている運転資金のリスケをお願いする。
- 銀行より利息の高いところに融資をお願いする(ノンバンク)
銀行に融資のお願いをする
銀行に更なる融資をお願いして、融資が通るとは思えませんでした。
もちろん事業計画を立案して粘り強く交渉すれば、多少の融資は受けられたかもしれません。
しかしそれをやるためには直近の試算表を改ざんする必要がありました。
また事業計画を提出するにしても、想像の世界の物語を書かなければなりませんでした。
自分にとっては万が一追加融資をしてくれることになったとしても、ただ借金が増えるだけだろうな・・・と感じました。
銀行に現在借りている運転資金のリスケをお願いする
金融機関にリスケのお願いをするということは、それ相当の覚悟が必要です。
覚悟する割りには延命以上の効果はないと感じました。
具体的にはリスケにも種類があります。
- 返済期間を延長してもらう
- ある一定の期間の返済を待ってもらう
いづれにしても、今の状態(債務超過)では破産する日が延長するだけに思えました。
リスケとは、「リスケジュール(reschedule)」の略で、金融機関への返済が苦しくなってきたときに、返済可能な計画に変更することです。ビジネスで使うときは「スケジュールを組み直す」「計画を変更する」という意味の略語です。
ノンバンクに融資をお願いする
一般的に銀行ではない金融機関をノンバンクといいます。
融資だけを専門にやっている金融機関だと考えていいでしょう。
銀行とノンバンクの違いは、ノンバンクは金利が高いということです。
審査は銀行より甘いのでよっぽどのことでもない限り融資はしてくれるでしょう。
私は過去に一度もノンバンクに手を出したことがなく、ノンバンクに融資のお願いをするという考えは全くありませんでした。
残された選択肢
投入する私財がなくなったことにより冷静に考えられるようになりました。
- 来月の支払いができない。
- 消費税の納税もある。
どう考えても、お金が足りません。
会社整理のやり方
会社を整理する方法は難しいことは抜きにして大きく分けて2つしかありません。
会社整理と書くと聞こえはいいですが、「倒産」のことです。
倒産には、廃業と破産の2つしかありません。
数年前から、このままでは会社の存続は難しいということはわかっていて、いつどうやって会社を整理することができるだろうと考えていました。
廃業する
私が希望していたのは、会社を廃業するという方法でした。
いつか会社をきれいに廃業させたい。会社の全ての資産で負債を返済して終わりにしたい。
基本的に金銭的なことで誰にも迷惑を掛けずに店じまいすることを望んでいました。
試算表を眺めながら、資産と負債を見比べてはため息の日々です。
試算表の資産の部に書いてある資産は、とても資産といえるような価値のあるものは少なく、むしろこれは負債だなと思えるものばかりが並んでいました。
まさしく債務超過の現実とその恐ろしさを感じました。
債務超過の会社は廃業したくてもできないのです。
会社破産するしかない
会社の資産を全部現金化して、負債の支払いをする。
この支払いを最後の1円までできなければ、破産するしかありません。
当初から破産することは全然考えていませんでしたので、なんとか債務超過から脱出することを考えていました。私にとってのゴールは資産=負債でした。
負債と資産が同額になったときに「廃業」しよう。
いつの日からか目標がこれになっていました。
債務超過後の単年度の決算は黒字に転換することはできていましたが、債務超過分を埋め合わせできるほどの黒字にはできませんでした。
最後に
会社をたたむ日がくることを経営者は考えておく必要があります。
資産で負債をすべて整理できる「廃業」ができるなら素晴らしいことです。
廃業できた会社は立派です。廃業できた会社社長には、本当にお疲れ様でした。と言いたいです。破産した会社の社長の悲劇は、会社が破産したあとも続きます。
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